厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「身体活動支援環境について」の「運動に関する物理的環境の整備」「運動に関する社会的環境の整備」「他部門との協働」を紹介します。
〔運動に関する物理的環境の整備(運動の場所)〕
運動は様々な場面で行われます。運動場所は運動施設のみならず、道路や公園、自然環境なども含まれます。
*体育館、グラウンド、プールなどの運動施設を整備しましょう。
*遊歩道、自転車道、公園、緑地、自然環境などは運動の場として重要です。運動の実施に適した場所になるように整備しましょう。
こどもの遊び場、こどもが集まる場所の整備、保育園・幼稚園といった施設の工夫で、こどもの運動量が増える環境を構築しましょう。新たな施設の建設は容易ではありません。既存の施設が多くの住民にとって「運動に適した場所」になっているかを確認し、整備しましょう。
〔運動に関する社会的環境の整備(運動の機会)〕
こどもの運動機会を増やしましょう。
*体育、部活動、休み時間など、運動の機会を充実させましょう。
*外遊びの機会を確保しましょう。
運動する機会を増やしましょう。例えば、総合型地域スポーツクラブなどのスポーツクラブ、運動・スポーツイベント、民間・行政が提供する運動プログラムなどの充実や、ご当地体操、ラジオ体操などの普及啓発が考えられます。
運動する仲間、運動自主グループ、運動指導者などを充実させましょう。
医療・ヘルスケアにおいて必要な身体活動・運動指導が確実に行われるようにしましょう。運動場所、運動機会へのアクセス性を高めましょう。
*運動場所や運動機会が充実していても、アクセスが悪いと活用されません。存在を知らない、交通手段がない、申し込み方法がわからない、時間が合わない、費用が高すぎる、参加条件が適さない、手続きが煩雑であるなど、参加を阻害する要因がないか検討し、既存の施設やプログラムを有効活用しましょう。
運動促進の啓発を行いましょう。
*運動促進キャンペーンなどで、運動に関する知識を普及して、行動変容を呼びかけましょう。単なる情報提供にとどまらず、他の環境整備、イベント、運動プログラムなどを組み合わせること(多要素化)が有効とされています。
〔他部門との協働〕
環境整備の実現には都市計画、教育、スポーツなどの他領域との連携が欠かせません。2018年にWHOが発表した「身体活動に関する世界行動計画2018−2030」では、「複数の機会・複数のベネフィット」がキーワードになっています。
すなわち、身体活動推進の機会(対策)は多様で、一見、身体活動や健康とは関係ない様々な政策、対策が関係しています。都市計画、公共交通、教育などの他領域の事業にも目を向けてみましょう。
また、ある領域の課題が別の領域の課題解決につながる場合があります。例えば、都市計画の政策が身体活動に資する場合や、身体活動推進施策が防犯に資する場合などがあります。他部門との協働が課題解決の鍵になることを確認しましょう。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕