運動ガイド7 成人版:現状/取り組むべきことは何か

厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の成人版の推奨事項の後半を紹介します。

〔現状〕
国民健康・栄養調査では、歩数や運動習慣についての調査を長年にわたり実施しています。令和元年の調査結果において、20歳以上の歩数の平均値±標準偏差は6278歩/日(男性:6793±4564歩/日、女性:5832±3863歩/日)でした。

歩数の経年変化をみると、男女ともに年々低下傾向にあることが示されています。

また、運動習慣については、1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している人の割合(20歳以上)は28.7%(男性:33.4%、女性:25.1%)でした。

座位行動は新しい概念であり、現時点では歩数や運動習慣のような経年的な調査はありませんが、平成25年の国民健康・栄養調査によると、平日1日の総座位時間に関して8時間以上と回答した男性は38%、女性は33%もいることが明らかになりました。

世界20%カ国における平日の総座位時間を調査した研究でも、日本人の総座位時間は世界的にみて、かなり長いことが報告されています。

〔取り組むべきことは何か〕
個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものからすべての人に対して、少しでも座位時間を減らし、現在取り組むことが重要です。

推奨事項である「3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上」は、一般の方にとって理解しにくい可能性があるため、概ねこの推奨事項に相当する「1日60分以上の身体活動」「1日8000歩以上」を推奨しましょう。これにより、長時間の座位行動が健康に及ぼすリスクも併せて低下する可能性があります。

すべての人に対して、少しでも座位時間を減らし、現在の身体活動量を少しでも増やすことを推奨しましょう。運動だけでなく、家事や仕事などの生活場面でも、身体を動かすことを勧めましょう。

例えば、家事(買い物・洗濯・掃除)や、通勤(自転車・徒歩通勤)などで身体活動を増やすことができます。また、家事や仕事のすきま時間に体操などで身体を動かすことも効果的です。

〔よくある疑問と回答〕
Q 1回の身体活動で「20分以上継続しなければ効果がない」などの最短持続時間や「週3回以上実施しなければ効果がない」などの最低限実施しなければいけない頻度はありますか?

A ありません。短い時間の積み重ねでも健康増進効果は得られます。また、週に1回でも効果があることが報告されています。個人のライフスタイルに合わせて、身体活動に取り組むことが大切です。

Q 健康のためには、成人であれば必ず推奨事項を満たす必要がありますか?

A ありません。健康増進のために望ましい身体活動量は人それぞれです。推奨事項はあくまで目安と考えてください。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕