“適当”という言葉は、一般には“いいかげん”という意味合いで捉えられていて、おざなり、無責任、投げやりという好ましくない行動の意味で使われています。これは一つの意味であって、他に、うまく当てはまっている、ちょうどいい程度という意味もあります。適して当然という漢字そのものの意味で使われることもあります。
どちらの意味合いで使っているのかがわからないと、会話が噛み合わないだけでなく、間違った認識をされて、うまくいくはずだったことが進まなくなり、それこそいいかげんな結果になりかねません。
“いいかげん”のほうは、加減が大事で、ちょうどよい状態を表しています。今ではさじ加減というと、忖度的な使い方をされることが多くて、本来の配合のバランス、よい結果を生み出す調合というほうの意味で使われる機会が減っています。
“好い加減”というのが正しい意味を表す漢字で、これは“適当”と同じ意味合いで使われてもよいはずですが、初めに書いたように、好ましくない“いいかげん”として認識されることが大勢です。
物事は過不足の塩梅が大事で、効果があるものは(医薬品でも健康食品でも)多ければよいというものではありません。もちろん、効果を得るために最低限の量は必要で、その量が確保されてからは使用する人に合わせた分量を探っていくことが必要となります。
これは食事でも運動でも、学習でも発達障害児などの支援でも同じことで、頑張ればよい、頑張って多くをこなせばよいということではありません。その人の状態、そのときの状況などに合わせて増減させていくのが“適当”であり、“好い加減”となります。
この“適当”で“好い加減”にするには、対象となる人について徹底して観察して、変化に対応する心構えが必要ということで、これに該当する話をするときに例として使っている言葉です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕