ストレスの度合いを測定する方法は簡単なものから大掛かりなものまで、さまざま存在していますが、その中でも最も簡単にできるものとしてはスマートウォッチがあります。体温、血圧、心拍数、睡眠、歩数、エネルギー消費量などに加えて、ストレスチェックができるものもあり、これを装着して寝ていると、睡眠中のストレスが判定できるという便利な機能もあります。
ストレス解消のためにお酒を飲んでいる人は多いかと思いますが、飲酒後の睡眠のせいで、かえってストレスが高まっていることがあります。休肝日には睡眠中のストレスが少なくて、その理由を探っていると話してくれた研究者がいましたが、自律神経の研究をしていると、わざわざ探求しなくても簡単に理由が説明できます。
1日の自律神経の変化は、起床してから交感神経の働きが盛んになり、夕方以降には副交感神経の働きが盛んになって、心身ともに休めるようになっています。睡眠中のストレスの度合いを測定すれば、通常では副交感神経の働きが盛んなときにはストレスは低くなっています。ところが、飲酒をすると、寝つきがよくなることから飲酒は睡眠にも効果があって、熟睡できると思い込んでいる人も少なくありません。
しかし、実際には違っていて、飲酒で寝つきがよくなるのは自律神経に作用しているということではなくて、アルコールの誘眠効果によるものです。神経の麻痺が起こって、眠くなり、そのままの勢いで眠っているだけです。問題は寝ついたあとで、深夜0〜2時の熟睡している時間帯に交感神経の働きがアルコールのために高まっています。長く寝たようでも、実際には副交感神経の働きが低下して、心身ともに休めていないということが起こっています。
これがスマートウォッチの簡易のストレスチェックでも現れます。眠っている間の夢を覚えている、途中で目が覚めたというのは交感神経が寝ている間にも働きが高まっているからで、飲酒量が多いほど、アルコール度数が高いほど余計なストレスがかかっているということです。