酵素は役割が決まっているのに

テレビ番組の専門家のコメントを事前にチェックする仕事が飛び込んでくることがあります。すでに収録が終わっていて、もしも間違いがあるならテロップの言葉を変えて対応するということも少なくありません。この場合はテロップのほうが正しいということになるわけですが、話していることとテロップが違っているとテロップに書かれていることを信じてしまい、間違った情報を伝えることもできてしまいます。
せっかく専門家が正しいことを話したのに、違ったこと、違った感じに画面を通じて出てしまったら、これはショックだと思います。
事前チェックをしたときに、消化酵素のジアスターゼは糖質(でんぷん)の消化酵素だということを説明していたのに、番組を見たら医師が消化酵素なので、肉を食べ過ぎたときにも効果があると話していました。ジアスターゼはアミラーゼとも呼ばれ、大根に多く含まれていますが、消化酵素はたんぱく質なので加熱したら壊れてしまいます。だから大根おろしに含まれているというコメントを用意していたのに、大根の煮物が美味しい季節だったこともあり、雛壇に並んでいたタレントから煮物の話が出たときに、それでもよいという話になってしまいました。
酵素は間違いやすく、テレビ番組に脂肪分解酵素のリパーゼの情報提供をしたときには、そのまま放送されたのですが、これを受けた別の番組で、リパーゼを活性させることは脂肪の分解が進んで脂肪の燃焼につながるという話が、いつのまにか脂肪燃焼酵素という話になっていて、これも驚いてしまいました。