酵素飲料は本当に酵素が効いているのか

酵素は身体の細胞の中で化学反応(生化学反応)を起こすために必要なタンパク質で、酵素が働くことで全身の機能が保たれています。この生化学反応が代謝で、代謝はエネルギー代謝と物質代謝があります。エネルギー代謝は三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を材料にして細胞のミトコンドリアでエネルギーを作り出す働きです。物質代謝は身体に必要なものを作り出す働きで、一般に新陳代謝と呼ばれるのは物質代謝です。
酵素を売り物にしているドリンクや食品、錠剤などは、体内で作用する酵素とは異なるものだということは以前にも紹介しています。ドリンクなどに含まれている酵素は植物の酵素を発酵によって取り出したもので、人間の酵素とは異なるものです、それなのに酵素を摂ることで身体の調子が整えられていくのは、これらの酵素が消化酵素の働きをしているからです。
体内の酵素は消化酵素と代謝酵素があって、消化酵素が多く使われると代謝酵素として使われる分が少なくなります。消化酵素を外から摂ることで代謝酵素として使われる分が増えれば、これが細胞内で生化学反応を進めるようになり、酵素の働きが低下している部分がカバーされるので弱点となっているところが回復されていく……ということが説明されています。これは商品を販売する側が主張していることであって、「酵素を摂っているつもりで、実は補酵素を摂っている」との考えが示されてからは、販売者の中にはこの補酵素の有益性を主張するだけでなく、「酵素も補酵素も摂れる」と主張しているところに、なかなかの売り方を感じているところです。
補酵素とは何かということですが、酵素は酵素だけで働くのではなくて、補酵素と結びつくことで酵素本来の働きをすることができます。つまり補酵素が不足していると、酵素が足りていても、まるで酵素が不足しているかのような結果となるということです。その補酵素としては複数のビタミン、ミネラルがあります。このように補酵素の成分が含まれている食品を摂らないと補酵素が不足するものもあれば、体内で合成されるために補う必要がないものもあります。
補う必要がないものの例としてはα‐リポ酸とコエンザイムQ10などがあげられています。α‐リポ酸とコエンザイムQ10はエネルギー代謝に欠かせないものだけに、不足が起こらないようにしていると考えられています。ただし、α‐リポ酸とコエンザイムQ10も20歳代(中でも20歳)をピークに合成が低下していくので、若い人でも20歳を超えたら、スポーツをする人なら20歳前でも、そして高齢になったらサプリメントとして補う必要が出てくるものです。
α‐リポ酸とコエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。