人間ドックは通常の健康診査よりも詳細な検査を行うことで、病気を早期に発見することが大きな目的とされています。それが発見されなかったかといって安心するのではなくて、現在の健康状態を確認することによって、健康的な生活を維持するために何をすればよいかを知る機会、生活の改善に取り組むきっかけとなることも期待されています。
人間ドックの検査項目は、血液検査、尿検査、便検査、血圧測定、心電図測定、超音波検診、胸部レントゲン、胃部レントゲン、大腸検査、肺機能検査、眼底検査、視力検査、聴力検査といったもので、これに脳ドック、男性では前立腺がん、女性では乳がんと子宮がんの検査がプラスされることもあります。
人間ドックは誰にも実施できるものという認識があるかもしれませんが、障害者の場合には専門的に人間ドックが行われているのは国内では3か所だけといいます。障害者も高齢化が進み、障害があることから二次的障害も起こりやすくなっています。障害によっては通常の人間ドックのあとに実施される栄養指導、運動指導が通用しにくいこともあり、生活習慣病のリスクも高くなっています。
こういったことから障害者向けの人間ドックが実施できないとしても、障害者の健康診断は重要であるにも関わらず、障害者は就職率が低いこともあって職域検診が受けられる人は少なく、地域で実施される健康診査の受診率も極めて低い状態となっています。在宅の車椅子生活者を対象とした在宅重度障害者健康審査事業は国と自治体の折半によって行われていた時期もあるのですが、今では自治体の予算のみとなったことから実施されていない自治体が多いのが実情です。
障害者向けの人間ドックを希望しても、一般の病院や検査施設では障害者に対応できる検査体制が整っていないことに加えて、施設内の移動や検査用ベッドに移るだけでも大変であり、集団での検診には向かないことから、なかなか受け入れてもらえない障害者が数多くいます。
重度障害者となるとなおさらですが、障害者に必要な整形外科検診(側弯、巻き爪などの視診)、歯科検診、接触・嚥下機能の検査となると、相当に慣れている専門医がいなければ診断ができないこともあって、先進的に実施している医療機関の方式と結果は、多くの病院と検査施設の見本となることです。その見本となる医療機関が岡山県にはあります。それは社会福祉法人旭川荘の療育・医療センターです。