大腸の内視鏡検査の前には、大腸に余計なものが残らないように、つまり内視鏡で腸壁を全部見通せるように、食べるものが制限されます。通常なら便が残らないようにするためには食物繊維を多く摂って、腸壁を刺激して便通を促進するところですが、内視鏡検査の前夜には便通を促進する薬が出されるので、食物繊維に頼る必要はありません。それどころから、食物繊維があると便が軟らかくならなくなって、大腸内に便が残ることにもなります。
食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に大きく分けられます。不溶性食物繊維は植物の根や葉に多く含まれていて、消化されないことから腸壁を刺激してくれます。感触としてはボソボソしたもので、不溶性食物繊維が多いと便が硬くなります。だから、内視鏡検査の前の日の食事では不溶性食物繊維が多く含まれたものは食べないように指示されます。硬いからよくないのなら、煮て軟らかくすればよいと考えるかもしれませんが、煮ると食感は変わるものの不溶性食物繊維がなくなるわけではないので、とにかく食べないように言われます。
もう一つの水溶性食物繊維はキノコ、海藻、果物に多く含まれています。果物ではジャムになる部分のペクチンが相当します。水溶性食物繊維は水分を吸収して軟らかくなるので、便も軟らかくしてくれます。それなら内視鏡検査の前に食べたほうがよいのかというと、大腸内の水分を多くして便を軟らかくするためには、水分を吸収する水溶性食物繊維はよくないことになります。
こういったことから検査前に食べてはいけない食品リストが渡されるわけですが、そのリストに載っているのは通常の食品です。身体のために、栄養不足の解消のためにと青汁を飲んでいる人には、特に禁止されているわけではないので、いつもの調子で飲んでしまうこともあるはずです。青汁の多くは液体とはいっても不溶性食物繊維が多く含まれています。それも凝縮されているので飲んだ分量のわりには多くの不溶性食物繊維を摂ることになります。
こんなことにならないように、青汁だけでなく、サイリウムや難消化性デキストリンなどの健康食品に使われる成分なども禁食リストに加えてほしいのです。

