食のリテラシー4 「もっと野菜を!」の現実性

歯のバランスから食べるべきものの種類を考えることについて前回(食のリテラシー3)紹介しました。

歯の形と本数から考えると、食べすぎの肉を減らし、野菜や穀類、豆類を増やすべきで、これによって血管に負担をかける脂肪を減らし、血圧や中性脂肪値などを安定させるために役立つに食物繊維、ビタミン、ミネラルを多く摂ることができます。

健全な成長のためにも、将来的に生活習慣病を予防するための食生活を身につけるためにも、歯のバランスに合った食事内容を考えるようにしたいものです。

野菜の摂取量を日本とアメリカで比較すると、日本人のほうが多く食べているような印象があります。昭和50年代までは日本人は野菜に多く含まれる食物繊維の摂取量が多いために大腸がんは少ないものの胃粘膜を傷つけやすいために胃がんが多くなっていました。アメリカでは逆に胃がんが少なく、大腸がんが多くなっていました。

しかし、日本人では野菜の摂取量が年々減少傾向にあることに対して、アメリカ人では健康志向の高まりから増加傾向にあります。アメリカ人でも今では野菜の摂取量は減少傾向にあるものの、それでも日本人よりも多いのが現状です。

人間の歯のバランスに合った食事が最もよい栄養バランスということになりますが、これに合致しているのは昭和30年代後半から40年代前半の日本人の食事だったといいます。平均寿命が大きく延びる中でも、生活習慣病が少ない理想的な状態だったわけです。

その時代を見習って、今よりも多くの野菜を食べるようにすればよいことはわかったとしても、それを実践するのは難しくなっています。

比較的安定していたはずの野菜の販売価格は、上下動を繰り返すものだということが常識となってきました。

気候の変動による変化だけでなく、農業の高齢化、生産コストと流通コストの上昇、人手不足による価格転嫁などによって、これまでのように旬以外の野菜を、いつでも食べられるという時代ではなくなる、という危機感をもって食について考えていかなければなっているということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕