野菜には旬があります。今では野菜をおいしく食べられる季節を指すようにもなっていますが、もとは最も成長する時期のことで、栄養素の量が多くなる時期です。
以前は野菜は収穫できる時期が地域によって決まっていましたが、今では種苗の開発、栽培法の変化、栽培地域の拡大、遠い地域(国内だけでなく海外も)からの輸送などによって、野菜によっては1年を通じて販売店に並ぶようになりました。
こうなると、最も栄養が豊富な季節のことを旬と呼ぶしかないようになっていますが、ほうれん草を例にして、栄養素の変化について見ていくことにします。
ほうれん草は冬野菜に分類されていて、最も栄養素が多いのは11月から3月です。
「日本食品標準成分表」でビタミンCを比較すると過食部100gあたりで冬採りは60mgであるのに対して、夏採りは20mgと3倍もの差になっています。
野菜に含まれている栄養素の量は、以前は1年の平均として発表されていましたが、そのときの量は60mgでした。ということは、以前の冬採りは今のものよりも栄養豊富だったということです。
食品成分については1947年(昭和22年)に初版が発表されましたが、そのときには100gあたりで150mgでした。それが新たなデータが出るたびに100mg、60mgと減り、現在の通年平均は35mgとなっています。
終戦直後の1947年は無農薬で化学肥料も少ない状態でした。こういた栽培をすれば栄養素が増えるのかというと、そうではありません。
当時のほうれん草は東洋種で葉には切れ込みがありましたが、今は西洋種か西洋種と東洋種の掛け合わせによるもので葉は切れ込みがない形をしています。
品種改良によってアク抜きをしなくても食べられるようになりましたが、その代わりに栄養素が減っているのが現在のほうれん草であり、それは多くの野菜についても言えることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕