噛むことは咀嚼(そしゃく)と呼ばれます。
咀嚼というのは、前歯で5〜6回粗く噛んで、そのあと奥歯ですり潰して消化しやすくすることを指しています。そのことから奥歯は臼歯と呼ばれています。
早食いの人は粗噛みの状態で飲み込んでいることになります。これでは消化にもよくないことであり、味わって食べるという感覚が身につきにくくなります。
咀嚼の回数が多いほど、満腹中枢が刺激されて、満足感が得やすくなっています。
噛む回数の推移については、さまざまな報告がありますが、弥生時代の日本人は1回の食事で約4000回は噛んでいたといいます。
鎌倉時代には約2500回、江戸時代には約2000回になり、第二次世界大戦前には約1400回、食べるものが大きく変化した戦後には600回くらいになり、今では300回を下回る人も少なくありません。
「カレーライスは飲み物」などと言われるくらいに噛む回数が減った時代には、できるだけ噛める食事をしたいところですが、そうではないものが食卓にのぼりがちです。
そのような料理を並べたのが「オカアサンハヤスメ」で、これはオムレツ、カレーライス、アイスクリーム、サンドイッチ、ハンバーグ、ヤキソバ、スペゲッティ、メダマヤキの頭文字をとったものです。
これに対して、「まごわやさしい」(まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ、いも)という標語があげられました。これは噛むことだけでなく、栄養バランスを取るために食べるべきものとしても知られています。
最近では、新たに「さあにぎやかにいただく」が使われるようになっています。これは高齢者のフレイル(虚弱)対策として、たんぱく質を多く摂ることを目指してもいます。
この標語を構成する食品は、さかな、あぶら、にく、ぎゅうにゅう、やさい、かいそう、にゅうさんきん(乳酸菌)、いも、たまご、だいず(豆)、くだものです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕