食事を減らさないで運動だけでやせられるか

ダイエットが続かないのは空腹に我慢ができなくなることと、運動が続かないことが大きな理由としてあげられます。食事の面で言えば、空腹を感じることがなければ続きやすいということで、空腹と感じない程度に食事の量を減らすか、同じ量でもエネルギー量を落とす工夫をするか、もしくは一番いいのは食事に何も手を加えずに以前と同じように食べられることです。その食べる量を変えずにダイエットを可能にするのが、食事と運動のタイミングで体脂肪をコントロールするメディカルダイエットの手法です。
今さらメディカルダイエットを勉強するのも面倒だからと、食事を変えずに運動を増やすだけでやせる方法を教えてほしいというオファーが来たことがあります。運動でジョギングを30分すれば200kcalの消費エネルギー量だから、同じ消費エネルギー量の食事は減らさないでよいだろうという発想です。200kcalだと、ご飯が茶碗で軽く1杯の分量、肉なら1切れ、卵なら1個くらいです。そう考えたいのもわからないではありません。ジョギングなら、なんとかできるだろうと思っても毎日、雨の日も嵐の日もとなると継続は大変です。
消費エネルギー量は性別、年齢、体重によって異なってきますが、「腹八分目は医者いらず」の言葉を信じて1日に2000kcalを摂っていた人が20%分を減らして1600kcalにしたとすると400 kcal分が減る計算になります。体脂肪1kgのエネルギー量は約7200kcalなので、18日あれば1kgは減らせることになります。この程度なら空腹を感じることなくチャレンジできます。これを1か月で2kgという目標としても、まだなんとかなりそうですが、1か月で4kgという目標を立てると1日に800kcalもの減少が必要になります、
「腹六分目」は、さすがに厳しい目標です。そこで再び浮上するのが運動で1日に800kcal分を減らせないかという考えですが、ジョギングだと2時間は続けなければなりません。消費エネルギー量が多い水泳(クロール)だと40分ほどになります。これだけの時間、泳ぎっぱなしというのは、もうアスリートの領域です。歩くのはどうかというと6時間も歩きっぱなしの運動量になります。個人差はあるといっても、これも毎日継続は無理なことです。
「運動だけでダイエットできるか」ということへの答えは、「無理ではないが厳しすぎる」ということです。となれば、どうすれば実現が可能かということですが、食事を減らすことと運動を取り入れることの両方で対処するしかありません。
ただ、食事のプラスのエネルギー、運動のマイナスのエネルギーの差し引きだけなく、空腹時に運動をしてから食事をすると筋肉のグリコーゲンが分解されてブドウ糖になり、この状態で食事をしたときには肝臓で合成されるグリコーゲンが多くなり、その分だけ血糖値が上がりにくくなってインスリンの分泌が少なくなります。肝臓で合成される脂肪の量はインスリンの量に比例しているので、こういった身体の仕組みを利用して、できるだけ効果を上げるようにするのもメディカルダイエットの手法です。