「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食事の評価を説明しています。
健康な個人または集団を対象として、健康の保持・増進、生活習慣病などの発症予防、重症化予防のための食事改善に食事摂取基準を活用する場合は、PDCAサイクルに基づく活用を基本とします。
摂取量推定(個人あるいは集団を対象とした各種食事調査の実施による摂取量の把握を指す)によってエネルギー・栄養素の摂取量を推定して、それを食事摂取基準の各種指標と比較して食事評価(ここではエネルギー・各栄養素の摂取状況の評価と定義する)を行います。
食事評価に基づき、食事改善計画の立案・食事改善を実施して、それらの検証を行います。
検証を行う際には、再度摂取量推定を実施して、食事評価を行います。検証結果を踏まえ、計画や実施の内容を改善します。
食事評価は、摂取量推定によって得られる摂取量と食事摂取基準の各指標で示されている値を比較することで行うことができます。ただし、エネルギー摂取量の過不足の評価には、BMIまたは体重変化量を用います。
摂取量推定によって得られる摂取量には必ず測定誤差が伴います。このため、摂取量推定のために実施する食事調査について、より高い調査精度を確保するため、調査方法の標準化や精度管理に十分配慮するとともに、食事調査の測定誤差の種類と、その特徴・程度を知ることが重要です。
食事調査の測定誤差で特に留意を要するのは、過小申告・過大申告と日間変動の2つです。
また、食事調査からエネルギー・各栄養素の摂取量を推定する際には、食品成分表を用いて栄養計算(飲食された食品に含まれるエネルギー・栄養素量の推定)を行います。
そのため、食品成分表の栄養素量と実際に、その摂取量を推定しようとする食品の中に含まれる栄養素量は必ずしも同じではなく、そうした誤差の存在を理解した上で対応しなければなりません。
さらに、エネルギーや栄養素の摂取量が適切かどうかの評価は、生活環境や生活習慣などを踏まえ、対象者の状況に応じて臨床症状や臨床検査値も含め、総合的に行う必要があります。なお、臨床症状や臨床検査値は、対象とする栄養素の摂取状況以外の影響も受けた結果であることに留意します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕