骨盤がゆがんでいると運動効率が悪くなる

ウォーキング指導をしているときに、左右の足の運びが違っている人をよく見かけます。本人は左右ともに同じ歩幅にして歩いているつもりでも、片方が前に出にくくて左右で歩幅が違うことから、左右のバランスが取れた歩き方になっていないのです。これでは筋肉の疲れ方も違い、膝などにかかる負担も違ってきます。そのために歩くほど左右のバランスが崩れてしまい、足腰を傷める結果にもなりかねません。内臓は骨盤の上に乗ったようになっているので、そのような歩き方を続けていると内臓に影響が出ることにもなります。
本人に気づいてもらうために、短い距離ですが、目を閉じて歩いてもらいます。まっすぐに歩く基準となるように一本のラインのところに立ってもらい、目を閉じて10歩ほど歩いてもらうと、10人中の少なくとも2〜3人は左右どちらかに曲がります。これは歩幅が違うというよりも、骨盤の左右の高さが違う形でゆがんでいることから起こることです。
「骨盤がゆがむ原因は足を組んで座ること」と、よく骨盤ダイエットの効果があるサポーターなどの販売広告に書かれていますが、それが原因とは限りません。骨盤がゆがんでいるから、まっすぐには座りにくくなり、上がっている側の足を上にして組むと楽に座れる、というのは確かなことです。
このことから骨盤の歪みをチェックすることができます。右を上にして組む人は、左を上にすると組みにくくなります。組みにくいどころか、きつくて組めないという人も少なくありません。この状態になっていると目を閉じて歩くと、きつくて組めない側に曲がっていきます。つまり、骨盤は楽に組める側が上がっていて、反対側が下がっているからです。下がっているのを上にして組むのはきついというのは理解しやすいと思います。組みやすい方を上にして座るクセをつけていると、だんだんと骨盤のゆがみが大きくなっていって、だんだんとまっすぐに座るのもきつくなってきます。
この状態は足が組みにくいというだけでなく、運動効率も悪くなっていきます。骨盤の高さが左右で違っていると、下がっている側の足は上がっている側よりも前に出しにくくなり、歩幅が狭くなっていきます。これが初めに述べた左右の足の運びが違う人に見られることです。この歩き方を矯正しないと、さらに骨盤は前後にもゆがんできます。となると後方にゆがんだ側の足は、さらに前に出しにくくなり、もっと歩幅が違ってきます。
本来なら左右の歩幅が同じで、同じように筋肉を使うことで勢いよく前進して行くことができます。ところが骨盤のゆがみがあると、勢いが低下して同じように歩いているつもりでも、前方向に向かうエネルギーが左右に流れてしまうことになります。普通に歩いているはずなのに、左右に体が揺れて早く歩けないという人は骨盤の歪みが始まっています。大きくゆがんでいなくても、左右のゆがみ、前後のゆがみがあると早く走れなくなります。歩くときには、そのことは気づきにくく、そのまま放置してしまいがちですが、ダイエットにも影響してきます。
足を組んでみて、左右で楽なほうが違っていたら、きつい方を上にして組むことを続けていると、軽い段階なら徐々に治していくことができるようになります。