高齢者の身体と疾病の特徴5 加齢による脱水(老化)

高齢者の身体と疾病の特徴について、加齢による脱水(老化)を紹介します。これは日本医師会の資料を改変して作成したものです。

◎加齢による脱水(老化)
(1)高齢者の脱水の特徴
 高齢者は脱水が起きやすい生理機能と脱水をもたらす要因を多く持っているので、脱水になりやすい。生理機能が低下しているので、脱水がきっかけで意識障害をきたしたり、基礎疾患の悪化を起こしたりすることがある。また、自覚症状が乏しく、初期に発見することが難しい。
(2)高齢者の脱水の要因
 体液量の中でも特に細胞内液が減少し、腎臓の濃縮力の低下、口渇感の減弱、活動力の低下が起こる。
(3)脱水を起こしやすい疾患
 高齢者に多くみられる脱水を起こしやすい疾患としては、脳血管障害・認知症、慢性呼吸器疾患、糖尿病、高血圧・うっ血性心不全、嘔吐・下痢・発熱・発汗を伴う疾患があげられる。
(4)脱水症の種類と症状
①高張性脱水症(水欠乏)
 高齢者に多くみられる脱水で、経口的な水分摂取量の不足、皮膚や肺から不感蒸泄としてナトリウム以上に多量の水が失われた場合や、高血糖のときにみられる。
②低張性脱水症(食塩欠乏症)
 主として下痢、嘔吐、瘻孔からの流出、発汗などで体液が失われ、ナトリウムを喪失することによって生じる。
③混合性脱水症
 水とナトリウムの両者が欠乏したもので、嘔吐や下痢、多量の発汗があって、しかも水分を補給しなかった場合にみられる。