麺類を食べると太るのか

ダイエットは食べる量と運動の量のバランスだといわれています。普通なら飲食で摂るエネルギー量で身体に入ってくる摂取エネルギーの総量と、運動や身体活動によって使われる消費エネルギーの総量の差し引きだということになっています。ところが、運動と食事のタイミングによって同じ量の食事、同じ量の運動でも一方では太ることができるし、一方でやせることができるという事実があり、メディカルダイエットは、これを採用して研究しています。とは言っても、根本的には食べる量が多くなって、摂取エネルギー量が多くなるほど太りやすくなるのは事実で、多くの量を食べていて、食事と運動のタイミングでやせたいといわれても、実現は困難だということもあります。
この話をセミナーでしたときのこと、食べる量が同じで、運動の量も変わっていないのに、「麺類を食べると太る理由を教えてほしい」という質問がありました。これについて、栄養に詳しい方なら、「麺類は粉にしたものを固めたものなので消化されやすく、吸収されやすい」という理由を説明するかと思います。これは確かに正しいことで、米のように粒状のものは消化液が浸透するまでに時間がかかって消化に時間がかかります。同じ粒状であっても玄米は食物繊維が多い分だけ消化に時間がかかるので、さらに消化されにくくなり、吸収量が変わってきます。
また、血糖値が上昇しにくくなることも関係しています。主食の糖質(ご飯、麺類、パン類など)に含まれているブドウ糖は、消化が早いほど早く吸収されて、血糖値を上昇させます。血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが多く分泌されますが、このインスリンというホルモンにはブドウ糖を細胞に取り込んでエネルギーにする働きとともに、余ったエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を肝臓で脂肪に合成して、蓄積される脂肪を多くするという働きもあります。
だから、粉を固めたものは麺類だけでなくパン類も太りやすいということです。これで質問への返答が終了となることが多いのですが、もう一つ太る理由として私たちがあげているのが1食当たりのエネルギー量の違いです。同じ一食分の食事量であっても、エネルギー量が異なっています。それを知ってもらうことで、摂取エネルギー量が違ってきます。
ご飯は1食分では約200kcalです。茶碗でいうと軽く一杯という感じです。これに対して麺類は1食分が約300kcalとなっています。市販の麺類(そば、うどん、パスタなど)は一玉が約300kcalの目処となっています。ご飯を食べるときには、それなりのおかずの量が必要になってきますが、麺類ではおかずや具の量が少ないのは、麺類の一玉のエネルギー量の多さが関係しています。
パンは、どの程度の量かというと、食パンの基本の単位は一斤です。一斤はヨーロッパのポンドから来ているもので、元々の1ポンドは約450gです。今では350g前後が目安となっています。大きさではなく重さということですが、一斤は4枚切り、6枚切りの切る前の大きさ(長さ)を指しています。
では、ご飯1杯分に相当する食パンの分量はというと、5枚切り1枚分となります。一斤のエネルギー量は約1000kcalなので、約200kcalとなるわけです。
5枚切りの食パンは関西ではポピュラーですが、関東では6枚切りが基本です。これを関西の人は「サンドイッチのパンを食べている」と揶揄して言ったりもしますが、ホテルのレストランなどで提供される4枚切りでは厚すぎる、6枚切りでは薄すぎるという感覚からすると5枚切りはちょうどよい厚みで、なんといってもエネルギー量が計算しやすいのがいいところです。