3時のおやつは太りにくく夜食が太る遺伝子

次々と新しいダイエット法が登場していますが、実はリニューアル、看板の掛け替えという例も少なくありません。それですらなく、古くからあったダイエット法が新たなダイエット法のように急浮上することもあります。その例としてあげているのが時間遺伝子のBMAL1(ビーマル1)です。その存在が知られたのは1997年のことで、すでに20年も経過しています。その間に何度も小ブーム、プチブームがありましたが、今ではダイエットに関しては当たり前となっていることの裏付けデータとして登場することもあって食いつきがよくないのかもしれません。
BMAL1はBrain and Mascle Amt-like protein1というタンパク質で、遺伝子のDNAと結合して作用します。何の作用なのかというと脂肪合成促進です。脂肪合成というと、余分となった栄養素を肝臓で脂肪酸に変えて、これが3個結合して中性脂肪になり、脂肪細胞の中に蓄積されていくことはよく知られていることです。同じ脂肪酸合成であってもBMAL1は脂肪酸合成酵素を増やす働きがあります。この酵素が増えると一時的に脂肪酸が多く作られ、これが蓄積されていくので太るようになります。
BMAL1について解説している文章を見ていると「脂肪細胞を増やす」と書かれているものがかなり目につきます。脂肪細胞は中性脂肪を蓄積しておくところで、脂肪細胞が増えてしまったら蓄積スペースが増えて、その中に蓄積される中性脂肪が増えることになります。脂肪細胞は成長期以外は蓄積スペースを増やさなければならないくらいに中性脂肪が多くなってから初めて増えるので、BMAL1の解説としては間違っているということです。あくまで増えるのは脂肪酸合成酵素で、その結果として増えるのは中性脂肪です。
時計遺伝子と呼ばれているように時間によって増減しています。脂肪酸合成酵素が増えたときに食べると蓄積される中性脂肪が多く作られ、減ったときに食べると作られる量が減るということで、同じものを同じだけ食べても太りやすさが違ってくるということです。
となれば太りにくい時間帯に食べればよいというわけで、その時間帯が気になります。それは昼の14時前後です。ここを底(下限)として夜の22時から深夜2時に向かって増え続けていきます。そして、そこから朝、昼まで減り続けています。そのことからわかることは13〜15時は太りにくく、昼食で脂肪を摂っても朝食や夕食よりも太りにくく、3時のおやつも太りにくいということです。
もう一つわかることは22時から2時という時間帯の夜食は着実に太るということです。どれくらいの違いなのかというと、ピークを100とすると一番少ないときには4〜5くらいで、20倍もの開きがあります。これだけの開きがあると大きな結果の差となることも容易に想像がつきます。
このように当たり前に起こること、感覚としてわかっていることを説明されても……という感想を多く耳にします。その仕組みを活かして効果的にダイエットする方法はないのかという意見が出てくるのも当然のことです。
深夜から昼にかけて下がり続けるということは、朝食は脂肪合成が盛んな時間帯ということになります。12時からあまり離れていない夕食はピークの100に対しては10くらいです。それに対して朝食は40くらいになっています。朝食は1日の活動に必要な栄養補給の場となっていますが、糖質とたんぱく質は増やしても脂質(脂肪)の量は減らしたほうがよいということがわかります。