発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害に大きく分けられています。発達障害を取り上げた書籍でもテレビ番組でも、自閉症スペクトラム障害と注意欠如・多動性障害に割かれることが多く、学習障害はついでのような扱いをされることがあります。しかし、教育現場で特に大きな問題となっているのは学習障害です。
学習障害の割合が高くなっているとしたら、それに自閉症スペクトラム障害と注意欠如・多動性障害が加わるようなことになると、子どもの発達障害の対策は考えを変えなければならないことにもなります。というのは、発達障害児が通所する支援施設は自閉症スペクトラム障害と注意欠如・多動性障害を中心としたところが多いからです。
文部科学省の調査では、発達障害児の割合は約6.5%となっています。これが、学習面か行動面に著しい困難を持つと通常の学級担任が回答した児童生徒数の割合です。通常の学級担任ということで、見逃しの可能性があるのを承知しているうえでの分析となりますが、発達障害のうち学習障害が占めるのは約4.5%、注意欠如・多動性障害は約3.1%、自閉症スペクトラム障害は約1.1%となっています。3つの合計が6.5%を超えるのは重複しているからです。
学習障害は知能の発達には問題がなく、読み・書き・計算といったことをしないと見た目ではわからないことから、注意欠如・多動性障害が目立ちます。注意欠如・多動性障害が教室内での発達障害の特徴だとみられるのは、こういった割合になっているからです。
学習障害が多いということは、支援活動を言葉や文字などで伝えても理解してもらえない子どもが多く、本人が理解をしたのかを確認するための表現力も弱いとなると、支援活動に当たる専門家も相当の知識と理解、そして対応力が必要になるということです。そういった現実を踏まえて、社会的な理解を進める活動に取り組まなければならないということを伝えさせてもらっています。