〔発達栄養アドバイザー趣意書より改変〕
DNAは発達栄養アドバイザー(Developmental Nutrition Adviser)を略したもので、特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構による認定資格です。
発達栄養についての専門書籍などは存在していないものの、発達障害児の改善を掲げた書籍は数多く、その中に栄養も取り上げられています。しかし、複数の書籍に目を通すと、自説を示すために発達障害を利用しているものもみられます。
糖質制限によって発達障害は改善できるとして、大きくブドウ糖を減らすことをすすめている書籍もあります。ブドウ糖の摂りすぎが低血糖を起こし、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が急激に不足することを示すもので、その裏付けとしてペットボトル症候群を示しただけというものもありました。
子どもの成長にブドウ糖は必要であり、適量を摂らないことには脳も身体も正常な状態で成長することができないと認識されています。世間に広まっている書籍などの内容を批判するだけでなく、どのような考え方をすればよいのかを科学的な裏付けによって説明する必要があると考えています。
発達障害児の体型をみると、自閉症スペクトラム障害では活動不足から太っている例が多く、肥満もみられます。それに対して注意欠陥・多動性障害では活動量が多すぎることからやせている例が多くなっています。自閉症スペクトラム障害も注意欠陥・多動性障害も非常に疲れやすく、多くのエネルギーが必要になります。太っているとエネルギーが不足していないように思われがちですが、食事で摂ったエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が充分にエネルギー代謝に使われていないために体脂肪が増えているという状態があります。
学習障害は学習面で理解や解答に時間がかかり、常に脳がフル回転しているような状態です。脳は全身のエネルギー源のうち23%ほどが使われていると一般に認識されていますが、5歳児では44%、10歳児では34%、15歳児では27%と、急激に発育している子どもほど多くのエネルギー源が必要であり、多くのブドウ糖を効果的にエネルギー化させる必要があります。
エネルギー源を効果的に代謝させるためにはビタミン、ミネラル、代謝促進成分の知識も必要であり、消化、吸収、排出の知識も必要になります。エネルギー代謝に着目すると食事は運動との関係で変化し、また食事と休養との関係によっても変化をしてきます。効率的にエネルギー代謝を進めるための食事と運動、食事と休養のタイミングも重要な項目となります。
発達障害は極端な偏食によって栄養摂取に問題があるだけでなく、自律神経の調整が乱れやすく、中には交感神経と副交感神経が逆転した状態で生活しているために体調が崩れて消化、吸収、排出を整えるのが困難な例もみられます。日常生活を少しでも快適に過ごせるようにするためにも胃腸の状態(消化、吸収、排出)は重要であり、生理学に基づいた研究と調整法も必要となってきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕