L‐カルニチンというと今ではダイエットのためのサプリメント成分として知られるようになっていますが、2001年までは医薬品の成分でした。L‐カルニチンが不足しているために代謝が低下する人だけが使えるものでしたが、使われているのは肉に含まれているアミノ酸で、食品成分であることから食品として認めるべきではないかと外資系の製薬会社が働きかけ、2002年に食品成分として認められています。その後はサプリメント成分として、脂質代謝を高めて余分に体脂肪が蓄積されている人の場合にはダイエットに役立つとして、広く知られるようになりました。
L‐カルニチンは体内で必須アミノ酸のリシンとメチオニンによって生合成されています。この生合成が正常に進んでいれば体内で不足するようなことはありません。とはいっても、生合成のピークは20歳とされていて、年齢が進むにつれてL‐カルニチンによる脂質代謝促進が低下していきます。加齢によって代謝が低下して、体脂肪が蓄積されやすく、また体脂肪が減りにくくなる原因の一つとしてL‐カルニチンの減少があげられています。
L‐カルニチンが代謝を促進する理由ですが、脂質代謝は全身の細胞の中にあるエネルギー産生器官であるミトコンドリアの中で起こっています。ミトコンドリアの中に脂肪酸を取り込まないと代謝を起こしてエネルギー化させることができなくなります。脂肪酸はL‐カルニチンと結びつくことによってミトコンドリアの膜を通過することができるので、L‐カルニチンの不足は、そのまま通過する脂肪酸を減らすことになり、脂肪酸を原材料にしてエネルギーを作り出す能力を低下させることになるわけです。
細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中でだけ使われるもので、いわゆる地産地消型となっています。全身のエネルギー産生を高めて、細胞レベルから健康を維持するためには、L‐カルニチンを摂ることによってミトコンドリアの中でのエネルギー産生を高めることであり、取り込んだ脂肪酸を多くエネルギー化させるための全身運動が必要になるということです。
L‐カルニチンの概要については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。