「日本の栄養学は統一されていない」と言われたことがあり、さらに「国立大学と私立大学で違う」と言われたことがありました。
詳しく言うなら「慶應義塾大学病院と他の病院は違う」ということで、慶應義塾大学病院は摂取エネルギー量の単位が100kcalを採用しているのに対して、他の病院は80kcalを採用していることです。
さらに正しくいうと、「かつての慶應義塾大学病院」と表現したほうがよいかもしれません。
一般の病院の病院給食や栄養指導をする部署は栄養科、栄養管理室などの名称となっていますが、慶應義塾大学病院は食養管理室(かつては食養科)との名称となっています。
終戦後の食糧難の時代に対応するために、昭和29年(1954年)に80kcalを目安とする食事指導の提言があったことについては以前(100kcal栄養学9)紹介しました。
100kcal単位で栄養管理をする方法は、自宅で各自が栄養管理を実施する患者でも疾病の予防に取り組む人でも、また健康的なダイエットを目指すためにも大いに役立つものとなっています。
栄養指導に使われるものは100kcal食品を折り紙の大きさ、色彩、枚数で表して、食事をデザインするもので、昭和64年(1989年)には「ダイエットデザインハウス」(慶應義塾大学刊)として発表されました。
その著者は慶應義塾大学病院食養科長であった山下光雄先生で、100kcalの栄養指導だけでなく、100kcal単位で表示される食品の流通の重要性を訴えていました。
その普及のためにのちにNPO法人日本100キロカロリーダイエット協会を設立しますが、設立当時の代表理事は私でした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕