100kcal栄養学2 食生活指針の栄養バランス

栄養バランスについて厚生労働省は複数のガイドラインを、これまで発表してきました。厚生労働省が厚生省と労働省が合併して発足したのは2001年(平成13年)のことで、厚生省のときには発表されたのは「健康づくりのための食生活指針」です。

発表されたのは1985年(昭和60年)のことで、国民の食生活の目安として策定されました。その中から栄養バランスに関わるものをピックアップして紹介します。

「健康づくりのための食生活指針」
1.いろいろ食べて成人病予防
  ・主食、主菜、副菜をそろえ、目標は1日30品目
  ・いろいろ食べても、食べすぎないように
4.脂肪を減らして心臓病予防
  ・脂肪とコレステロール摂取を控えめに
  ・動物性脂肪、植物性油、魚油をバランス良く
5.生野菜、緑黄色野菜を毎日の食卓に

「主食、主菜、副菜」がバランスの基本というのは今も変わらないことですが、気になるのは「目標は1日30品目」の項目です。「健康づくりのための食生活指針」が発表されたときには、メディアが盛んに「1日30品目(食品)」を取り上げたものです。

これは当時の厚生省が健康づくりの標語を作ろうという動きの中で、健康づくりの3要素の栄養・運動・休養が同じテーマで共通させることが話し合われました。

そのときに運動担当からは「1日に30分の運動習慣」、休養担当からが「夕食から睡眠までの間に30分の休養時間」があげられました。栄養担当は「食事時間は30分をかけて」という案を考えましたが、現実的ではないということで、30だけを共通させて提案して決定されたのが「1日30品目」でした。

この画期的とも思われた食生活指針の標語が、今では使われなくなっています。それは「国民健康・栄養調査」によって、栄養バランスが取れている人は平均して1日に17品目を食べていることがわかったことが、きっかけでした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕