100kcalあたりのPFCエネルギーバランスで食品を評価する方法は、1896年(明治29年)に、アメリカ・エール大学のフィッシャー教授が『アメリカ生物学雑誌』に「食物標示の新しい方法」として発表しています。
PFCエネルギーバランスのPFCは、P(たんぱく質:protein)、F(脂質:fat)、C(糖質:carbohydrate)のエネルギー源を指しています。摂取すべき栄養素としては、たんぱく質、脂質、糖質のほかにビタミン、ミネラル、食物繊維があげられます。
このうちエネルギー源になるのは、たんぱく質、脂質、糖質だけで、これらは三大エネルギー源もしくは三大栄養素と呼ばれています。
PFCエネルギーバランスは100kcalの各食品に含まれる三大栄養素をエネルギー量として、「1枚=100kcal」の三角錐(三角形)を用いて、この面積からPFCエネルギーを表す方法です。三角錐が2枚なら200kcal、3枚なら300kcalというわかりやすい方法となります。
このPFCエネルギーを表す方法は、栄養学教育の祖である佐伯矩(ただす)医学博士によって日本に紹介されました。佐伯博士は、医学から栄養学を独立させたことが知られ、大根の消化酵素ジアスターゼを発見した功績も知られていることです。
大正2年(1913年)に、佐伯博士の勧めによって『大日本私立衛生会誌』にPFCエネルギーを表す方法は「簡易栄養価器」として紹介されています。これを用いることによって、三角形の枚数で熱量とPFCエネルギーを把握することが可能となりました。
大正13年(1924年)には、日本最初の栄養士養成学校である「栄養学校」(後の佐伯栄養専門学校)が佐伯博士によって創立され、大正15年(1926年)には同校の教科書『栄養』にフィッシャーの「簡易栄養価表示器」が取り上げられました。
これによって、食品を「100kcal食品とPFCエネルギー」で示し、三大栄養素を「三色(赤青黄)」で表現する栄養指導法が初めて教育されました。
三色は赤色がたんぱく源、青色がビタミン・ミネラル、黄色がエネルギー源ですが、現在は青色のビタミン・ミネラルは植物に多いこともあって緑色で表現されるようになっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕