厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を公表しました。その中の「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」の「新たに運動を開始するときの確認事項」の後半の続きを紹介します。
〔新たに運動を開始するときの確認事項〕
2)症状(STEP2)
安静時又は活動中における兆候と症状にリストアップした事項の有無を確認しましょう。
・虚血によると思われる胸部、頸部、頭又は他の部位の疼痛・不快感
・めまいや失神
・起座呼吸や発作性夜間呼吸困難
・くるぶしの浮腫
・動機や頬脈
・間欠性跛行
・心雑音
・通常活動時の異常な疲労感や息切れ
3)リスク状況による分(STEP3)
高齢化が進展していることから、高血圧・糖尿病・脂質異常症あるいはメタボリックシンドロームといった内科系の生活習慣病による心血管系疾患のリスクだけでなく、身体活動不足などによるロコモティブシンドローム(ロコモ)、ひいては骨粗鬆症や脆弱性骨折、変形性関節症。脊柱管狭窄症、さらには転倒や寝たきりのリスクにつながる整形外科系疾患についての配慮も必要です。ロコモ度をチェックし、リスク状況を把握することも有用です。
利用者の健康状態と許容運動強度から見た運動環境のイメージがあります。利用者の健康状態のレベルにより、危機管理レベル(自己管理レベル:自由の運動可能、要保健指導レベル:身体状態等を要確認、要医学的管理レベル:監視下で運動を実施)は異なり、運動処方や監視型運動の必要性も異なってきます。
実際には、各施設が明確に役割を分担しているのではなく、互いに重複して存在しているのが現実です。運動強度が極めて低いものであれば、運動を行う場の選択肢は多くなります。
身体活動不足の人については、低強度・短時間でも良いので、今より活動量のアップを図ることが重要です。集団全体への身体活動促進を考える際には、広く皆がアクセスしやすい場をつくり(例えば、住まいに身近な場所での自主的な体操グループの立ち上げなど)、日常生活レベルの強度の運動を気軽にできるようにしていくことも重要といえます。
一方で、より個人に応じた運動を行うときには、現在の健康状態(兆候や疾病の状況)を評価し、必要に応じて医療機関への相談・確認(メディカルクリアランス)のうえ、運動処方に基づき、監視下での運動実施などを考慮する必要があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕