サードプレイスが注目されるようになったのは、1989年に発行された『ザ・グレート・グッド・プレイス』で、著者のアメリカの社会学者レイ・オルデンバーグ(社会学博士・西フロリダ大学社会学部名誉教授)が提唱した第3の居場所によって意識の高まりが見られるようになりました。
自動車依存型の社会であるアメリカは、家庭(第1の居場所)と職場(第2の居場所)を往復する生活に追われていることから、その改善のモデルとしてヨーロッパに目が向けられました。ヨーロッパではカフェが飲食の目的だけでなく、自由に交流する場として重要な役割を果たしていることが着目されました。
この時代は、ヨーロッパではスローフード運動が展開されていて、スローフードやスローライフの価値が見直され始めていたことも、その背景にあります。
第1の居場所(ファーストプレイス)は、生活の基本となる自宅を指していて、食事、入浴、就寝など人間としての生命や健康を維持するために必要な場所です。家族がともに生活をする場所でもあって、そこには家族に対する義務や責任も存在しています。
第2の居場所(セカンドプレイス)は、職場や学校などの自宅以外で長い時間を過ごす場所です。経済活動や学習など、生活の糧を得るために欠かせない場所であり、仕事や学業、それらの同僚などへの責務(義務、責任)が存在しています。
第3の居場所(サードプレイス)は、義務や必要性に縛られるのではなくて、自らの心の動きに従って、進んで向かう場所を指しています。息抜きや趣味などの心安らぐ場であり、レイ・オルデンバーグは著書の中で8つの条件をあげています。
・中立性のある場所
・すべての人に平等な場所
・会話が重視される場所
・アクセスしやすい場所
・常連のいる場所
・控えめだが安心感のある場所
・陽気な雰囲気のある場所
・第2の家となる場所
サードプレイスには、①自分らしさを体現できて、ストレスや精神的不安が軽減され、生活に潤いを与える、②共通の関心を持つ仲間に囲まれ、心を通わせることで疎外感や孤独感を覚えにくくなる、③新しい価値観や人とのつながりを得ることができる、④市民活動が活発になり、文化や心の豊かさが生まれる、といった利点が掲げられています。
これらの4つの利点は、従来の第3の居場所から踏み出した第4の居場所でこそ醸成されるものとの考えを持って、セカンドステージの活動に取り組んでいます。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕