あくまでも噂話50「“やればできる”の意味するところ」

励ましの言葉はモチベーションを高めるためには有効なものと考えられてきていましたが、相手の状況を考えずに投げかけた言葉によって、かえってモチベーションを低くさせるどころか、やる気をなくさせる、心身の状態を悪化させるということも起こります。
発達障害児を支援する団体に関わってきてわかったことですが、根拠のない励ましほど子どもの発達に悪影響を与えることはないことはありません。本人のために良かれと思って投げかけた励ましであっても、言葉の意味を真剣に捉えて、本心で言っているのか、気持ちがこもっているのかがわかった瞬間に、話も聞いてくれなくなることがあるのが発達障害の特性です。
うまくコミュニケーションが取れないことは周囲の人からすると“困った子”と見えるかもしれませんが、本人にしてみれば“困っている子”なのです。そこのところの理解ができないと、子どもの10人に1人が発達障害児という時代、コロナ禍を経験して社会との付き合いが苦手な子どもが増えた時代には、子どもたちと上手に付き合っていけなくなります。
励ましの言葉というと「やればできる!」と言っているお笑い芸人がいますが、これは根拠のない励ましの言葉ではありません。励ましの言葉ではなくて、単なるギャグと思われることもあるのですが、発している本人は「やればできるというのは成功のことではなくて成長」とはっきりと言っています。やれば成長できるのに、やらなければ成長もできないし、もちろん成長の先にある成功もできないということです。
年齢を重ねるほど人生経験を重ねて、良いことも悪いことも経験して成長ができるはずなのに、守りに入ったために、これまで続けてきた社会のための行動が単なるローテーションになっている人を、これまでにも数多く見てきました。コロナ禍を経験して、それを良い経験とすることができないほど打ちのめされたこともあるのでしょうが、せっかく年齢を重ねてレベルを高めてきたのに、ストップしてしまった人もいました。
私は自分の年齢を言うときに、冗談めかして「レベル67」と言っていますが、これは来年はレベル68になることを目指して進もうという気持ちがあるからです。やればできる、ということを言い続けられる自分でいたいということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)