エネルギー代謝16 運動による代謝の変化

運動をして呼吸数が多くなるのは、酸素が筋肉で多く必要になった結果で、酸素が筋肉内に多く取り込まれていきます。このときには筋肉が温まり始めて、脂肪を分解する酵素のリパーゼの働きが盛んになります。中性脂肪は脂肪酸が3つ結合した形で、リパーゼによって分解された脂肪酸が筋肉細胞のミトコンドリアに多く取り込まれるようになります。
バウンド運動を始めて5〜10分でミトコンドリア内のTCA回路に取り込まれる脂肪酸と酸素が増えていきますが、この段階ではすぐにエネルギー化されるブドウ糖の使用が増えて、脂肪酸は割合が低くなっています(一般にはブドウ糖80%:脂肪酸20%)。割合は低くなるものの、軽い運動であってもエネルギー消費は平常時の3倍ほどにはなっていることから、平常時よりも脂肪酸の代謝は増えています。
バウンド運動を10分ほど続けていると、うっすらと汗ばんできます。これが身体のエネルギー代謝が高まったサインで、脂肪酸の代謝が盛んになり、脂肪酸が効果的に、しかも長く代謝される状態になっています(ブドウ糖35%:脂肪酸65%)。
汗を多くかくのは代謝が高まり、ダイエット効果が高いと思われがちです。そのような説明をしているフィットネスクラブなどもあり、汗が多く出るように上着を脱がないように指導される場合もありますが、エネルギー代謝の仕組みを考えると、汗が出てきたら薄着で続けることが重要となります。
筋肉細胞にある脂肪分解酵素のリパーゼは、筋肉が温まることによって早く活性が高まるので、身体が冷えている状態では、季節によりますが上着を着て運動をするのは効果があります。しかし、リパーゼは筋肉の温度が高まりすぎると活性度が低下します。そのため汗によって温度が高まりすぎないようにしています。
汗が出てきたら、これは脂肪代謝が高まっている状態であるので、この状態を保つように、薄着になって適度に汗を出しながら続けるようにすることです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)