サプリ概論202 疲労感を軽減する機能性表示食品

渡り鳥が長距離を休まずに飛び続けられるのは、鶏の胸肉に含まれるイミダゾールジペプチドというアミノ酸であることがわかり、これを活用して疲労感を軽減する機能性表示食品が開発されました。疲れやすい人の救いの一品として注目されていますが、機能性表示食品は消費者庁に届け出をしているので、その内容を見て、コマーシャルから受けるイメージと実際の製品に違いがあるのか、それともないのかを確認するようにしています。
イミダゾールジペプチドが含まれる製品は、「日常の生活で生じる身体的な疲労感を軽減する機能」が認められるとされています。どのように試験を行ったかということですが、イミダゾールジペプチドを400mg摂取した群(グループ)とプラセボ(偽薬:見た目は同じだが有効成分が含まれていないもの)を摂取した群を比較して、摂取3週間後、4週間後、6週間後でVASによる疲労感の有意な低下が見られたとのことです。
VAS(Visual Analogue Scala)は主観的な指標で評価した機能性の表示で、疲労感につながる成分が減ったとか、なくなったということではなくて、あくまで主観的なもの、つまり体感イメージでの評価です。
というのは、イミダゾールジペプチドは、すでに日常の生活で生じる身体的な疲労感を軽減する機能性があることが論文で発表されているからです。機能性表示食品は論文掲載だけを根拠にしても認められるのですが、その場合には「〜と報告されています」と表示しなければなりません。それに対して製品そのもので試験をして結果が得られた場合には「〜の機能があります」と表示することができます。
疲労というのは肉体的活動、精神的活動、疾患によって生じる心身の活動能力・能率の減退に分けられていますが、どの場合にも疲労感が伴います。疲労のメカニズムの一つに肉体的活動によって生じる酸化ストレスの上昇があります。イミダゾールジペプチドには酸化ストレスの上昇を抑制する抗酸化作用があり、それが疲労感の軽減につながっています。
イミダゾールジペプチドは鶏胸肉が材料となっていますが、他の肉類に比べて100gあたり約1000mgと最も多く含まれています。イミダゾールジペプチド製品の推奨量の1日2本(60ml)には400mgが含まれています。これが鶏胸肉だと、どれくらいの量なのかと調べてみたら、40gと通常の食事で摂る分量でした。