高血圧の人は、生活習慣病の中では最も発症率が高い疾患となっています。国民健康・栄養調査(2006年)によると20歳以上では約3970万人と推定され、正常高値血圧者の約1520万人と合わせると、約5490万人となっています。これは20歳以上の国民(1億400万人)の約52.8%にも及んでいます。
また、2010年の調査結果では、30歳以上の高血圧患者(高血圧症有病者)は男性の60.0%、女性の44.6%にも及んでいます。以前の調査結果では男性は52.1%、女性は41.9%であったので、明らかに患者数は増えています。
心臓が収縮して血液を送り出して血管(動脈)に一番強く圧力がかかった状態が収縮期血圧(最高血圧)です。そして、収縮したあとに心臓が拡がるときに圧力が一番低くなった状態が拡張期血圧(最低血圧)です。
正常高値血圧というと、「正常」とついているので血圧が高めでも問題がないと感じるかも知れませんが、このまま進めば高血圧になる人であって、決して放っておくことができないという状態です。
高血圧になっても、血圧が徐々に上がっているときには、これといった症状がないのが、この病気の特徴となっています。そのために血圧が高いことを指摘されても軽く考えてしまい、精密検査や治療を受けない人も少なくありません。
しかし、高血圧は気づかないうちに、血管に徐々にダメージを与えていきます。血管は全身に新鮮な酸素と栄養成分を運び、全身の二酸化炭素や老廃物を運び去るための生命線であるため、血管がダメージを受けると、影響は全身に拡がっていきます。
高血圧になると血液の圧力に耐えるために徐々に動脈の血管壁が硬くなり、血管の抵抗性が高まります。また、血管が傷つくと悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポ蛋白)などの脂質がたまりやすくなり、さらに内径が狭くなっていきます。このような状態では、血圧はさらに上昇するようになり、さらに動脈硬化が促進されていくようになります。