ウォーキングは代表的な有酸素運動ですが、無酸素運動にすることもできます。歩く速度を早めればよいのですが、早歩き程度では普通は無酸素運動にはなりません。ところが、高齢者では日常的な運動不足・活動不足の影響もあって、走らないけれど急ぎ足で歩いているという速度でも無酸素運動と同じ負荷がかかって、筋肉量を増やしていくことができます。
ここでいう筋肉量というのは2種類の筋肉で、赤筋と白筋のことです。赤筋は脂肪酸をエネルギー源として有酸素運動を行う筋肉で、弱い負荷が続くことで増えることかた歩くだけでも鍛えてことができます。白筋はブドウ糖をエネルギー源として無酸素運動を行う筋肉です。白筋を鍛えるためには強い負荷がかかる運動を短時間でもよいので繰り返すことが求められます。
高齢者が赤筋も白筋も鍛えることができるのが早歩きだといっても、急ぎ足で歩くのは長くは続けられません。高齢になると、たんぱく質が筋肉に取り込まれにくくなって、運動をした割には以前のように筋肉が増えないというのが普通の感覚です。
これを解消する方法として、早歩き(速歩)と普通歩行を繰り返すインターバルウォーキングが行われます。速歩は、なんとか会話ができる歩行速度ですが、速歩をすると足の筋肉が張っていくように感じます。これは筋肉の収縮が激しくなって、血液が多く送られた結果です。そのときには筋肉に取り込まれる酸素も多くなっています。
この酸素を使って、白筋ではブドウ糖、赤筋では脂肪酸が代謝に多く使われます。筋肉の中でブドウ糖と脂肪酸をエネルギー化するだけでなくて、作り出されたエネルギーを使って筋肉細胞の中では生化学反応が起こり、たんぱく質を筋肉細胞に取り込む反応が起こります。
こういったインターバルウォーキングの手法は、メディカルダイエットの上級講習でも取り上げています。生活習慣病を予防するためには速歩と普通歩行の繰り返しに加えて、それぞれの疾患の予防と改善に使われる効果的な歩き方があって、それについても伝えています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)