十割そばは太りにくいのか

年末年始は食べすぎ、飲みすぎ、そして運動不足のシーズンということで、年明けからメディアのダイエット企画が多くなります。週刊誌の記者から「十割そばは太りにくい、とろろをかけると、もっと太りにくくなるというのは本当ですか」との質問がありました。年末のテレビ情報番組の中で血糖値を上昇させなければ太らないという主旨で紹介されていたことについての質問でした。
そばの他の麺類、ご飯、パンなどの主食には糖質(炭水化物)が含まれています。その糖質に含まれているブドウ糖が血糖値を上昇させて、その結果として分泌されるインスリンには肝臓での脂肪合成作用があるので、血糖値が抑えられれば太りにくいという理屈です。
それは正しいのですが、糖質は米や小麦粉に多いというイメージがあるので、小麦粉が使われる二八そば(20%が小麦粉)より、そば粉だけの十割そばのほうが良い、と考えたのでしょう。しかし、麺類は1玉(一食分)が約300gあります。そば粉は100当たり約350kcalで、小麦粉は約360kcalです。10kcalほどの違いなので、これで違いが出るほどの差ではありません。そばにしろ、うどんにしろ麺類は糖質の量が多いので、ダイエット企画に十割そばを取り上げるのには疑問があります。
とろろはネバネバ成分のムチンが含まれているので、ブドウ糖の吸収を抑えて、というよりも吸収を遅くして血糖値を抑えるという話も紹介されていましたが、とろろはイモで、糖質が約23%と多く含まれています。100g当たりでは120kcalほどのエネルギー量があります。とろろを加えて食べれば太りにくいということの前に、エネルギー量が多くなることを伝えてほしかった、との話をしました。