健康食品は複数の成分が組み合わされるのが通常のことで、異なる成分を使うことで目的に沿ったものとしています。例えば、血糖値を安定させるためには、糖質がブドウ糖に分解されるのを阻害するもの、ブドウ糖の吸収を阻害するもの、ブドウ糖を細胞に取り込む作用があるインスリンを増やすものといったものがあります。
代謝を促進するためのものとしては、細胞のミトコンドリアに脂肪酸を取り込ませるL‐カルニチン、ブドウ糖を取り込ませるα‐リポ酸、ミトコンドリアの中でエネルギー産生をするときの補酵素となるコエンザイムQ10を組み合わせることがあります。
メインの成分の作用を保持するためにルテインとアントシアニンが組み合わされることがあります。ルテインには強い抗酸化作用があるものの酸化されやすいため、酸化を遅らせるために他の抗酸化成分と組み合わせています。
多くの成分を組み合わせれば、それで成分それぞれの効果が得られるのかというと、一定の働きを期待するときには、一定の量が含まれていることが必要になります。これは閾値(いきと)といって、健康食品の成分の場合は、一定の反応を起こさせるための最小量という意味で使われています。この閾値を下回っている量では、どれも効果がないことになり、効果を期待しても意味がないことになります。
健康食品の中には、このような数多くの素材を組み合わせて、多くの効果が得られるような印象を与えているものが案外と多く見受けられます。では、成分が多いと効果が薄いのか、効果がないのかということですが、一つの素材に多くの成分が含まれている場合は例外といえます。一つの植物に、さまざまな効果があることが確認されていて、その理由をするために成分分析をしていったら、数百種類もの成分が含まれていることがわかった、というものがあります。
こういったものは一つの植物として完成しているので、一つずつの成分の含有量が少ないからといって効果が発揮されないということではなくて、むしろ複数の成分が体内で相乗的に作用して、期待する結果が得やすいものであるといえるのです。