三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10について再三触れていることから、メディアからの質問も増えています。以前は「ヒトケミカル」とインターネットで検索をすると「フィトケミカル」ではないか、とか、自動的にフィトケミカルで検索した結果が表示されましたが、言い続けているうちにヒトケミカルは立派な(?)検索ワードとなっています。
三大ヒトケミカルは、どれも体内で合成されているものの20歳代をピークに減少していく成分で、医薬品として使われてきましたが、食品から抽出・合成することができるようになって、食品としても使用することが許可されています。このことは繰り返し説明していますが、日本の企業が酵母を原材料として発酵技術によってコエンザイムQ10を開発して、これが2001年(平成13年)に日本で食品として使用することが許可されました。日本はコエンザイムQ10の世界シェアのトップを占めています。
L‐カルニチンは肉抽出エキスに含まれる必須アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されるアミノ酸の一種ですが、スイスの製薬会社が開発したL‐カルニチンの研究成果が評価され、2002年(平成14年)に食品として使用することが許可されました。この製薬会社の日本企業は国内のL‐カルニチンのシェアの約80%を占めています。
α‐リポ酸は脂肪を加水分解した酸から合成されますが、2004年(平成16年)に食品として使用することが許可され、日本はα‐リポ酸の世界シェアのトップを占めています。
三大ヒトケミカルが食品として認められたことで、代謝機能が注目されてダイエット目的のサプリメントの有力な成分として使われました。それに加えて、初めに許可されたコエンザイムQ10は抗酸化作用が強調されたことから、他のポリフェノールと同様の健康食品の成分というイメージが抱かれましたが、三大ヒトケミカルと、その他のフィトケミカルとは異なっています。フィトケミカルは植物などに含まれる成分で、機能性はあっても摂らなければ機能が低下するというものではありません。
それに対して、三大ヒトケミカルは体内で合成されるエネルギー代謝には欠かせない成分です。それが年齢を重ねるにつれて減少していくので、活力を維持するためには体内の維持量を増やすために外から摂らなければならない成分です。それならば三大ヒトケミカルが含まれる食品を摂ればよいのでは、と考えるかもしれませんが、通常の食品を食べても補うことができないのです。それは食品に含まれる量が少ない、ということだけではありません。