発達障害支援7 支援施設が足りない

発達障害先進国という言葉を使うと誤解を招きかねないのですが、先に発達障害の実態調査を行い、その対応にも先駆けて取り組んだアメリカでは、発達障害は神経発達のズレであるとの認識のもとで支援が進められています。
その支援は不得意なことをカバーする(凹を埋める)と同時に、それ以上に得意なこと高める(凸を伸ばす)ことに力を注いでいく支援活動に取り組んで、成果を上げています。成果を上げるためには専門家の存在が重要で、学校教育の現場には資格を有する発達障害児教育の専門家が存在しています。この話題を出すのは、日本ではそうなっていないからです。
発達障害児支援施設と一般に呼ばれる児童発達支援事業所が、発達障害児の支援を担っています。
神経発達の改善には、運動や感覚体験による発達の促進が認められていて、児童福祉法に基づく児童発達支援事業、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援事業が全国で実施されています。発達障害と診断された子どもの増加から児童発達支援事業や放課後等デイサービスを運営する企業が急増し、厚生労働省社会福祉施設等調査の概況(令和元年)では、児童発達支援事業7,653件、放課後等デイサービス13,980件、保育所等訪問支援事業1,335件となっています。
発達障害児の支援事情は地域によって大きく異なります。この活動を手がけている岡山県を例に見てみると、医療・福祉・教育が充実しており、その影響もあって県内には発達障害児支援施設が168事業所あります。
1日の利用定員数は10人の事業所が多く、週に1回の利用とした場合の定員は50人となります。稼働率が100%であった場合には約8400人の受け入れが可能となっています。岡山県内の児童数は約24万人であり、発達障害児の割合が10%とすると約2万4000人と推定されます。この計算からすると、発達障害児支援施設を利用できるのは35%ほどで、残りの65%は通所しての発達支援が受けられない状況であることがわかります。
全国では平均して40%ほどが使用できるとされていますが、大都市部では施設が多いのに対して、地方では20%ほどという実態もあります。発達障害児支援施設は年々増え続けているものの、まだまだ不足しています。受け入れてもらえない子どもに対して、できることの一環として取り組んでいるのが家庭でも実践できる発達栄養です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)