健康な人の血液中の中性脂肪量は50~149mg/dlで、150mg/dl以上を超えると高中性脂肪血症と診断されます。
健康診断で中性脂肪値が高いことを指摘されると、脂肪が多く含まれる食品を減らして、食事で摂取する脂肪の量を減らすように心がける人が多くなっています。こういう状態になると、「脂肪が多いのだから脂肪を減らせばよい」と発想する人が多くなるのですが、食事で摂る脂肪を控えれば、血液中の中性脂肪が単純に減るというわけではありません。
食事で摂った脂質は、小腸から吸収されてカイロミクロンとなるため、脂質の多い食事をすると血液中にカイロミクロンが増えます。しかし、カイロミクロンは食事をして数時間で、ほとんどが各組織のエネルギーとして使われます。
中性脂肪の検査は、空腹時(12時間以上は何も食べていない状態)に行われるため、検査で計測される中性脂肪はカイロミクロンではなくて、中性脂肪は食事で摂った脂質との関わりは少なくなっています。中性脂肪値に影響しているのは、これらの脂質ではなくて、食事で摂った糖質です。
中性脂肪は食事で摂ったエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち体内でエネルギーとならなかったものを貯蔵用のエネルギーとするために肝臓で脂肪酸に合成されて、脂肪酸3個が結びついた中性脂肪となります。この中性脂肪は脂肪細胞の中に蓄積されていきます。
脂肪酸の肝臓での合成は、アルコール飲料の摂取によっても促進されます。また、肥満の人は、脂肪細胞の中で分解された脂肪酸が血液中に放出されて、この脂肪酸を原料にして肝臓で中性脂肪が合成されます。このほかにも、糖尿病、肝臓病、腎臓病、痛風などによっても、高中性脂肪血症になることがあります。