替え歌というものがありますが、これは歌詞を全般的に変えるものです。それに対して私がカラオケで使っているのは、一部だけ変えて、今の気持ちを表すことです。これを始めるきっかけとなったのは随分前のことですが、東京の大手出版社の編集者の女性が、かなり酔っ払っている状態でマイクを握って、「浪花節だよ人生は」の最後とほうで「何がブスだよ」と叫んだことでした。
これと同じようなことを大阪から来た営業マンが、「クリスマス・イブ」の歌詞で最も盛り上がるSilent night holy nightのところで「さいでんな、そうでんな」と歌って大受けを誘っていました。これは嘉門達夫が替え歌で、君はきっと関西人と歌い出して、「さいでんな、ほーでんな」と歌っていたものをアレンジしたのでしょう。
私がカラオケで歌ったのは、これで東京は最後というときで、「宇宙戦艦ヤマト」の最後のほうで、「さらば東京、旅立つ日には荷物まとめてヤマト」と歌詞を変えました。それ以外の部分は画面に出てくる歌詞どおりに歌っていたので、受けるというよりも一緒の方々にはビックリ顔で見られました。
44年も住んでいた東京から、縁のない岡山に移住することに、複雑な思いを抱いていることを知っている人は、最後は笑って(笑わせて)済まそうとする姿を可哀想にも思ったようですが、そんな意図はなくて、もう戻ってこないと言いたいだけでした。
岡山に家族ごと(妻、妻の妹、姉妹の両親まで)移住したのは家族でできる仕事を提案してもらったからですが、移住してからコンセプト変更とかで仕事が変わり、最終的には仕事がなくなってしまいました。
コンセプトを変更した人は、大したことをしたとは思っていないようで、平気な顔をしていましたが、小さな出来心で運命を変えられてしまったことを恨みとしていうのではなくて、カラオケで誰にも気づかれないように歌詞を変えて歌って、憂さを晴らしました。そのときに歌詞は「サボテンの花」の一節で、「ほんの小さな出来心」と当人に面と向かって歌いましたが、スルーでした。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)