食事で摂取したもののうち胃で消化され、小腸で吸収されたもの以外は、不要なものとして大腸に運ばれ、排出されます。実際には大腸で分解されて吸収される成分、大腸で発生する栄養素があるのですが、全体量としては少ないので、大腸の排出のための器官と考えても間違いではありません。
排出は不要なものを出すだけなので、エネルギーは必要ないような印象が抱かれることがあるのですが、大腸は排出のために蠕動運動をするところで、大腸壁の細胞は、その中で作り出されるエネルギーによって生化学反応が起こり、スムーズに動くことができるようになります。
正常な働きをするためにはブドウ糖と脂肪酸をエネルギー源としてエネルギー代謝が盛んに行われる必要があります。大きなエネルギー源である脂肪酸を細胞の中のエネルギー産生器官であるミトコンドリアに取り込むためには代謝促進成分のL‐カルニチンが必要になります。L‐カルニチンは肝臓などで必須アミノ酸のリシンとメチオニンから合成されていますが、合成のピークは20代前半で、年齢を重ねていくにつれて合成量も保持量も減っていきます。
高齢になると便通が悪くなるのは腸内細菌の善玉菌が減ることが大きな理由としてあげられるのですが、大腸壁の細胞のエネルギー不足も原因となっています。善玉菌は腸内が温かな環境で増殖して活性化しますが、年齢を重ねると腸内の温度が下がっていきます。細胞内で作り出されたエネルギーの半分ほどは体熱の保持に使われています。エネルギー産生が低下すると腸が冷えやすくなります。
腸を温かい状態にして善玉菌を増やすためにも、大腸壁の細胞の活動を高めるためにも、代謝促進成分のL‐カルニチンが重要になってきます。L‐カルニチンは以前は医薬品成分でしたが、今では食品成分としてサプリメントとして摂ることができるようになっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)