筋肉の材料となるのはたんぱく質です。筋肉と同じ種類のものを食べれば、それだけ筋肉になりやすい、というのは普通に考えつくことです。動物の赤身肉は筋肉です。魚の場合は赤身も白身も筋肉です。赤身が赤い色をしているのは、ミオグロビンという筋肉色素タンパク質が含まれているからで、ミオグロビンには酸素を結合させるために鉄が含まれています。この鉄の色が赤い色素となっています。
鉄を結合させるタンパク質というと、赤血球の赤い色のもとになっているヘモグロビンがあります。このヘモグロビンの働きによって、酸素は肺の中で赤血球のヘモグロビンに結合して、血液中を通って全身の細胞に運ばれています。酸素を離したあとのヘモグロビンには二酸化炭素が結合して肺まで運ばれてきます。
動物の筋肉(赤身、白身)以外でも、筋肉と同じ性質であれば、筋肉とすることができます。人間の身体には約10万種類のたんぱく質があります。そんなにも多いにも関わらず、これらのたんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されています。
アミノ酸のうち体内では合成されずに食事から摂らなければならない9種類は必須アミノ酸と呼ばれます。これ以外の11種類は非必須アミノ酸と呼ばれます。必須アミノ酸がバランスよく含まれているたんぱく質を“良質なたんぱく質”といいます。
〔必須アミノ酸〕ロイシン、リシン(リジン)、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン
〔非必須アミノ酸〕アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸
必須アミノ酸が一つでも必要量に達していないと、たんぱく質としての栄養評価(アミノ酸スコア)が下がります。アミノ酸スコアが高い食品としては、肉類、魚類、豆類、卵類、乳製品があげられます。このうちの1種類の食品でもよいのですが、必須アミノ酸のバランスが取れていることは同じでも、必須アミノ酸の量が違っています。そのことから、複数の食品を摂ることによって、必須アミノ酸の充分に補って、身体を健全に働かせることができるようになります。
※食品に含まれているものは「たんぱく質」、身体を構成するものは「タンパク質」と使い分けしています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)