発達障害支援12 注意欠陥・多動性障害を理解する

自閉症スペクトラム障害を理解するために、幼児期の特性について列記していきます。このことから保護者が気づいて、専門医に相談することで発見されることも多くなっています。

注意欠陥・多動性障害(ADHD:Attention-deficit hyperactivity disorder)は、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが特徴的で、身の回りの特定のものに意識を集中させる脳の働きである注意力に問題があり、衝動的で落ち着きのない行動によって生活上の困難に直面している状態を指します。

発達年齢に見合わない多動・衝動性、あるいは不注意、その両方の症状が7歳までに現れ、その対応別の症状の程度によって、多動・衝動性優勢型、不注意優勢型、混合型に分類されます。学童期の子どもには3〜7%存在し、男性は女性より数倍多いと報告されています。男性の有病率は青年期には低くなるのに対して、女性の発現率は年齢を重ねても変化しないと報告されています。

小学生では、多動・衝動性の症状には、座っていても手足をもじもじする、席を離れる、おとなしく遊ぶことが難しい、じっとしていられずにいつも活動する、しゃべりすぎる、順番を待つのが難しい、他人の会話やゲームに割り込むなどがみられます。

不注意の症状には、学校の勉強でうっかりミスが多い、課題や遊びなどの活動に集中し続けることができない、話しかけられていても聞いていないように見える、やるべきことを最後までやり遂げない、課題や作業の段取りが下手、整理整頓が苦手、宿題のように集中力が必要なことを避ける、物忘れや紛失が多い、気が散りやすいなどがあります。

多動症状は、一般的には成長とともに軽くなっていく傾向がありますが、不注意や衝動性の症状は半数が青年期まで、半数は成人期まで続くと報告されています。また、思春期以降に、うつ症状や不安症状を合併をする人もいます。