発達障害の子どもは疲れやすく、これが発達障害の状態を悪化させることにつながっています。通常では自然に、無意識のうちにできることであっても、発達障害の子どもは環境に合わせるために心身をフル回転させて対応させていることがあります。
感覚過敏は、刺激に対してストレスを感じやすく、そのために神経をすり減らしやすい傾向にあります。効率よく身体を動かすことが苦手な人は、脳が運動を調整しにくく、極端に不器用であったり、力加減を調整しにくいために、服を着たり、靴ひもを結ぶといった日常的に行われる動作でも苦労するために脳の疲労が蓄積されやすい傾向があります。
多動・衝動性のタイプは思考や行動のコントロールが効きにくいことから活動量が多く、日常的なエネルギー消費が激しくなっています。また、衝動性をコントロールしようとすることによって、神経をすり減らして疲れる例も多くなっています。
発達障害に共通する自律神経の乱れから、緊張感が続いたり、身体や脳の休養をとることも苦手で、中でも注意欠如・多動性障害の子どもの半数ほどに睡眠に関する障害が起こっているとされています。
発達障害の子どもが疲労を訴えるのは、このような理由があるからですが、さぼろうとしていると勘違いされがちです。心身に負荷をかけることからエスケープ(脱出、逃亡)したがっています。中には疲労を訴えないために気づかれないことも少なくありません。
ストレスを軽減させる方法や休息を与えることだけでなく、疲労の根本原因である自律神経の働きを調整するために、睡眠、食事、排泄、運動といった生活リズムを整える家庭での過ごし方が大切になります。