発達栄養67 発育途中の味覚に関する特徴

子どもの成長は外見から確認することができますが、内臓を中心とする消化器官は発達が遅く、塩分、糖分、脂肪の摂りすぎは内臓にダメージを与えることになります。また、未発達のうちは刺激物である辛いもの、しょうが、にんにく、ネギなどを食べると内臓に強い負担がかかるようになります。薄味を心がけることは内臓の負担を減らして、正常な消化、吸収、代謝の機能を保つための配慮となります。

発育途中の幼児は味覚が大人よりも過敏で、薄味にして塩味を抑えることによって他の味覚(甘味、酸味、苦味、塩味、うま味)を感じやすくなります。乳児期に口にしていた母乳・調整粉乳の甘味に慣れていることから、幼児期は甘味の強い食事をおいしく感じます。甘味が感じられる食品・料理は安心できるものと認識して、食欲が進むようになっています。

味覚が敏感な幼児期までは、酸味は腐ったものの味、苦味は毒の味と認識され、危険な食品を食べないようにしています。子どもが苦手な野菜には苦みやえぐみなどがあり、これを食べても安心できるという情報を脳に与えるために味を変化させる調理が必要になります。

乳児期は離乳食を通じて、新たな味、食感、舌触り、匂い、温度、色彩など五感(味覚、触覚、嗅覚、聴覚、視覚)を感じながら、おいしさを覚えていきます。この段階では味付けよりも、素材そのものを活かした料理が大切になります。

幼児期には五感が育ち、おいしさだけでなく、環境や条件によって食事への反応が異なるようになります。おいしく感じていないものを無理に食べさせられた、空腹を感じていないのに食事をさせられた、他の人がおいしそうに食べているものを食べさせてもらえなかった、という経験が積み重なって好き嫌いの感情と脳の反応が起こるようになります。