医療機関を受診して検査を受けた結果(検査数値の記録、レントゲンやCTスキャン画像など)は、医療機関が保存するのは当たり前のように考えられています。同じ医療機関に通うのに、いちいち検査結果を持って行くということを考える人はいないかもしれません。ところが、アメリカの制度を知ると、常識として考えていたことが実は非常識だったということに気づくかもしれません。
検査結果を預かるのは医療機関のサービスという感覚かもしれませんが、預かられてしまうと、それを持って自由に他の医療機関に行くことができなくなります。自分のお金で検査をして、自分の結果であるのだから、自分で管理したいという気持ちがあっても、医療機関は簡単には検査結果を渡してはくれません。
その理由として、患者や家族が紛失してしまい、最高レベルの個人の情報である医療情報が流出することを防ぐという考えもあるのですが、医療機関ごとに検査をすることを国が認めていることが大きく影響を与えています。“検査をするほど利益があがる”と揶揄されるような制度になっているのです。
セカンドオピニンという制度があり、一つの医療機関で納得のいく治療法が示されなかった場合には、他の医療機関の医師に診断や治療方針の相談をすることを指しています。このセカンドオピニオン(第二の意見)を受けるためには、現在の主治医に伝えて、紹介状と検査結果のデータを出してもらうことになります。セカンドオピニオンを快く思っていない医師の場合には、自分で医療機関を探して、同じ検査を受けなければならないことになります。
アメリカでは“自分のお金で検査した自分の結果は自分のもの”という考えが浸透しています。検査結果を持って他の医療機関に行くのも自由です。というのは、アメリカの医療費は定額払いであるため、どの医療機関で治療を受けるかは患者が自由に選ぶことができます。検査結果を持って、それぞれの医療機関で、どのような治療が受けられるのかを知ってから選択するということが当たり前になっています。
ここが日本とアメリカのセカンドオピニオンの決定的な違いとなっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)