エネルギー代謝37 ウォーキングによる代謝促進

歩く機会が極端に少ない状況では、筋肉量も筋力も大きく低下しますが、これを回復するための運動として実施される筋肉トレーニングの目的は主には筋力の強化です。筋力は強い力を発揮させる筋肉の能力ですが、筋肉の能力には筋持久力と筋代謝力があります。筋持久力は筋肉の力を長く発揮する能力で、弱めの負荷であっても長く動かし続けることによって高めることができます。

筋代謝力は、筋肉を動かすことによって筋繊維(筋肉細胞)がブドウ糖や脂肪酸を取り込んでエネルギー化する能力で、歩いて多くのエネルギーを作り出すことを指しています。この筋代謝力を高めることが活動のエネルギー量を増やすことになり、血糖値や中性脂肪値、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を正常に保つことができるようになります。

筋肉は瞬間的に大きな力を発揮する速筋と、大きな力は発揮できないものの長く力を出し続けられる遅筋に大きく分けられます。速筋は白い色をしていることから白筋、遅筋は赤い色をしていることから赤筋とも呼ばれます。筋力と筋持久力は速筋を刺激することで強化できます。また、筋代謝力は遅筋を刺激することで強化できますが、同時に筋持久力を高めることもできます。

ウォーキングによって強化できるのは筋代謝力と筋持久力で、歩くことによって効果的に脂肪酸を代謝させる筋肉を増やすためには、歩いて筋肉を強化する方法がすすめられます。有酸素運動のウォーキングは走ることに比べると身体を傷めにくく、健康効果が高いとはいっても、ゆっくりと歩いていたのでは筋代謝力も筋持久力も強化することはできません。ある程度の負荷が遅筋にかかることで、酸素を体内に取り込んで、効果的にエネルギーを作り出す能力を高めていくことができます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)