必須アミノ酸という用語があります。これは体内で合成されないために食事で摂る必要があるアミノ酸のことで、健康維持のために必要な20種類のアミノ酸のうち9種類が該当しています。必須アミノ酸はイソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン(スレオニン)、トリプトファン、バリン、ヒスチジンです。
これらのアミノ酸が、どんな食品に含まれているかを調べなくても、肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品にはバランスよく含まれています。いわゆる“良質なたんぱく質”と呼ばれているものです。
また、必須脂肪酸という用語もあります。これも体内で合成されないために食事で摂る必要がある脂肪酸です。ダイエットと脂肪という話になると、多くは「脂肪の摂りすぎは太る」ということに終始しがちですが、健康を維持するためには必ず摂らなければならない脂肪酸があるのです。それに該当するのは、α–リノレン酸、リノール酸、アラキドン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)です。
アミノ酸、脂肪酸と並んで三大エネルギー源と呼ばれるのはブドウ糖です。ブドウ糖には“必須”という言葉はつけられていません。そのことを取り上げて、「ブドウ糖は必須ではない」という発言をする人がいて、特に糖質制限をすすめる医師に多くみられます。
確かに“必須ブドウ糖”という言葉はないのですが、それは必須ではないからではなくて、ブドウ糖は1種類しかありません。しかも、エネルギー源として必ず摂らなければならないのが常識であるので、あえて必須という言葉を使っていないだけのことです。
ブドウ糖は三大エネルギー源の中では、すぐに吸収されて、素早くエネルギー化されます。全身の細胞を働かせるための重要なエネルギー源です。血液中のブドウ糖が増えると血糖値が高い状態となって、膵臓からホルモンのインスリンが分泌されます。インスリンには細胞にブドウ糖を取り込む作用のほかに、肝臓でブドウ糖を脂肪酸に合成する作用、脂肪酸を中性脂肪にする作用、中性脂肪を脂肪細胞の中に蓄積させる作用があります。
そのためにブドウ糖が含まれる糖質の過剰摂取は太る原因であり、生活習慣病の要因になるわけですが、身体には絶対に必要なものです。特に必要なのが脳で、脳のエネルギー源になっているのはブドウ糖だけです。だから、糖質の摂取量が少ない、朝食を食べない(糖質を摂らない)ということをすると、脳の機能性正常に保つことができなくなります。脳は全身の働きをコントロールしているので、全身の機能にも影響が出てしまうのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)