果物の皮には栄養成分が多く含まれるというので、皮ごと食べようと言われたこともあります。また、皮の栄養成分を取り入れるために、皮ごと絞ったアウトクラッシュのジュースのほうがよいとされたこともあります。しかし、今は安心して飲むことができるジュースは、皮を剥いて、中身だけを絞ったインクラッシュだということが随分と知られてきました。
海外で栽培された果物を材料としたジュースのうち、国内で販売されているものは、原産国で販売されるパッケージにして輸入されるものと、濃縮して輸入して国内で還元するものがあります。圧倒的に多いのは、後者の濃縮還元ジュースです。濃縮は水分を蒸発させて抜くことで、重量が少ない状態で輸送して、国内で水を加えて同じ濃度に戻す還元が行われます。
濃縮還元はミネラルが含まれる水を抜いて、還元のときに加えられるのは普通の水なので、同じものに戻るわけではない、ということが言われます。しかし、そのほうが安心できます。というのは、輸入された果物には防カビ剤が使われて、カビが生えないようにして腐敗も防いでいます。南半球から運ばれる果物は、高温多湿の赤道を通過してくるので、防カビ処理がされていないと売り物にならなくなります。
防カビ剤の原料は農薬で、カビは根を張ることから浸透性が高い特性がある農薬が使われています。輸入された果物には、使用されている防カビ剤の種類が表示されています。しかし、どのような特性があるのかは書かれていないので、自分で検索することです。
そのオレンジ、レモン、グレープフルーツなどの柑橘類に表示されている防カビ剤は、イマザリル、TBZ(チアベンダゾール)、OPP(オルトフェニルフェノール)、ベノミルなどです。イマザリルには急性毒性が、TBZ、OPP、ベノミルには発がん性が認められています。
そんなものが、なぜ使われているのかというと、輸出する国の人は食べることがなくて輸入した国の人だけだから、ということではありません。柑橘類は皮を剥いて食べるものだからです。皮を剥けば大丈夫との認識ですが、実際には浸透性が高い農薬なので、中身にも残ることがあります。
だから、皮を剥くだけでなくて、刃物を使って、皮を厚く剥く(中身も少し切る)ことが必要になります。柑橘類なら、それでもよいのですが、防カビ剤はアメリカンチェリーにも使われています。皮を厚く剥いたら、アメリカンチェリーは種だけになってしまうので、あえて食べる必要があるのか、よく考えてもらいたいと話をしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕