機能性表示食品として消費者庁に届け出するには科学的な研究結果の裏付けが必要ですが、これさえ使っていれば比較的簡単に名乗れるようになる、と言われているものがあります。それは難消化デキストリンで、「食後の血中中性脂肪値や血糖値の上昇を緩やかにする機能があることが報告されています」と機能を表示して販売することができます。
「〜の機能があります」と表示するには、製品を使って独自に研究試験を実施して初めて有効性を確認することができるのですが、これに対して「〜と報告されています」という表示は研究論文を裏付けとして提示するだけで可能となっています。
多くの製品は「〜と報告されています」との表示となっていますが、それは素材のメーカーが試験を実施して、得られた成果を提供しているからです。
難消化デキストリンは天然のでんぷんを原料として作られた水溶性の食物繊維で、難消化性という名のとおり、消化されにくい特徴があり、食品に含まれる中性脂肪やブドウ糖を吸着して吸収されにくくしています。このことをもって、脂肪と糖に作用するWの効果をうたっているのです。
難消化デキストリンを使用した機能性表示食品の中には、「おなかの調子を整える効果があることが報告されています」と表示されたものもあります。製品によって、前出のWの効果に加えて、おなかの調子を整える3つの効果を表示しているものもあります。
機能性表示食品は病気の人を対象に試験をすることができなくて、使用する論文でも対象者に病気の人がいるものは採用することができません。おなかの調子を整える効果については、健常成人もしくは便秘傾向にある成人を対象としたもので、排便回数と排便量が増えたという結果が示されています。病気レベルまで進んだ便秘の解消の研究はされていないということです。
難消化デキストリンに他の機能性成分を加えて、その成分が機能性表示を許可されているような印象で販売しているものもあります。これは制度上許されていることではないのですが、難消化デキストリンには吸着作用があるので、せっかくの有効成分も吸収されなくなってしまいます。