一般のダイエットのための食事というと、エネルギー量が多い脂肪が多く含まれるものを減らす、血糖値を上昇させて脂肪合成を進めるものを減らすということになります。血糖値を上昇させるのは糖質で、具体的にはブドウ糖が多く含まれるものとなります。というのは、血糖は血液中のブドウ糖のことで、ブドウ糖が多いほど血糖値を上昇させます。
逆に太るためには、脂肪と糖分を増やせばよいことになりますが、それだと体脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)が増えることになり、それは健康的な状態ではなくて、これを目指している人は少ないはずです。
体脂肪の中でも問題となるのは内臓脂肪です。内臓脂肪が多く蓄積されると、血液中の中性脂肪が多くなります。中性脂肪が多くなると、血管の中に中性脂肪が沈着して、おかゆのようなアテローム(粥腫)になっていきます。このために血管がダメージを受けて、徐々に固くなっていく動脈硬化へと進んでいくようになります。
血管の中の中性脂肪を減らすというと、食事で摂る脂肪を減らせばよいように思われがちです。食品に含まれる脂肪は中性脂肪の形になっていて、これは脂肪酸という脂肪の最小単位が3つ結ばれたものです。食品の中性脂肪は、胃と腸で分解されて、脂肪酸の形で吸収されます。吸収された脂肪酸は、そのままの形でも血液中を流れていきますが、肝臓では中性脂肪に合成されています。そして、この中性脂肪が血液中を流れていきます。
血液中の脂肪酸は、食事で摂ったものだけではありません。内臓脂肪の脂肪細胞に含まれた中性脂肪は、多くなりすぎると分解されて血液中に脂肪酸として放出されます。内臓脂肪が多く蓄積されているほど、血液中の脂肪酸が増えて、そして肝臓で合成された中性脂肪も多く流れるようになります。内臓脂肪が多いということは、それだけで動脈硬化のリスクが高まるということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)