食事制限による摂取エネルギー量の減少は寿命を延ばすというアメリカの研究発表があってから、これに関連してメディアからの問い合わせが増えています。実験の対象はアカゲザルでしたが、「人間でも同じことが言えるのか」という基本的な話から、「本当に食べる量を減らせば長生きできるのか」という話、どんな食べ方をすれば良いのか、何を食べれば効果的かという話まで、さまざまです。
それだけ関心が高いということですが、本当か、という疑問も当然の反応で、アカゲザルに自由に好きなだけ食べさせたのに比べて食事を制限したほうが長生きだったということは、普通の量を食べていたわけで、多くの量を食べたら短命になったということではないか、という反応でした。
摂取エネルギー量が寿命に関係するというのは、以前から活性酸素についての説明の中で言われていたことです。活性酸素は細胞の中でエネルギーが作られるときに発生するので、食べる量が多くなって発生するエネルギー量が多くなると活性酸素の量も多くなります。活性酸素は細胞を破壊していくので寿命に関係するという説明です。
活性酸素はエネルギー源の糖質の中のブドウ糖、脂肪の中の脂肪酸が不完全燃焼となることで多く発生します。それなら完全燃焼をさせればよいわけで、そのためには細胞のミトコンドリアでエネルギーを作り出すのに必要な三大ヒトケミカルです。三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を、ご覧ください。この“ご覧ください”ということは、いちいちメディアの方に説明する手間暇を簡略化するために言っていることです。
食事量を20%減らすと寿命が20%延びるという、わかりやすい話もあります。20%減らして20%延びたなら一生涯に食べる量は同じということですが、この話をメディアの方に話したところ、テレビ番組でも同じコメントがされていました。個人のコメントとして使われたのか、それとも偶然に同じ考えをしたのかは言わないことにします。