健康・火の用心8 塩分を減らせば血圧は下がるのか

高血圧の人に第一に指導されるのは「塩分を控えること」です。食塩に含まれるナトリウムには水分と結合する作用があり、血液中のナトリウムが増えると血液中の水分が増えるために血圧が上昇する、というのが一般的な説明です。これは事実であったとしても、誰もが同じように起こるわけではありません。

血液中のナトリウムが増えると、腎臓から排泄される量が増えて、ナトリウムの量は一定に保たれるようになっています。ところが、ナトリウム(食塩)感受性といって、ナトリウムが増えても腎臓での排泄が進みにくくて、血圧が上昇する人もいます。その割合は20%だとされています。

ナトリウム感受性がある人は、ナトリウム摂取量が増えると血圧が上昇して、逆にナトリウムを減らせば血圧が下がるので対処しやすくなっています。これに対してナトリウム非感受性の人(全体の50%ほど)はナトリウム摂取量が増えても血圧は上昇しないのですが、血圧が上昇したときにナトリウムを減らしても血圧が下がらないという特性があります。

塩分を減らせば血圧が下がるわけではない人に対しては、肥満の解消や有酸素運動、生活習慣病がある場合には改善が求められます。内臓脂肪が多くなると、その脂肪が血管を圧迫して、血管が弾力性をもって収縮しにくくなります。心臓から送り出された血液の勢いを血管の弾力性で受け止めることができなくなるので、どうしても血圧が上昇するようになります。

そんな人は、やせただけで血圧が下がることが多く、内臓脂肪を減らす効果がある有酸素運動がすすめられるのは、運動による効果と内臓脂肪による圧迫の減少の効果もあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕