子どもの身体と脳の健全な発育のためには充分な量の栄養素と、バランスが取れた摂取が第一条件となります。しかし、栄養バランスの取れた料理を出して、それをすべて食べていれば健康が保たれて、成長に必要な栄養素が吸収されて、体内で効率よく使われるわけではありません。
これまで乳幼児の栄養指導は生理学を基本として、それに発育段階の特性を加味して実施されてきました。しかし、原則的な栄養理論が通じにくい子どもが急激に増えてきたことから、新たな考えによる栄養面でのアプローチが検討されてきました。そのアプローチとして注目されているのがエネルギー代謝学に基づく発達栄養の研究成果です。
これは栄養素だけでなく、食べ方や消化・吸収に大きく影響してくる自律神経の働きも重視されていて、栄養摂取や自律神経調整が大きく乱れているために生活に困難さを抱えている発達障害児にも対応することが可能な内容です。
人間は栄養素だけで生命維持と発達が行われているわけではありません。この栄養素を効率よく取り入れ、効率よくエネルギー化して、そのエネルギーを心身の発達に役立てるためには、それぞれの子どもの状態に合わせた生活リズム改善、睡眠、休養、運動といった全方位的な対応が求められます。
食品に含まれる栄養素を中心とした食物栄養学は、体内の生理学的な仕組みに注目した細胞栄養学へと移り、人間の活動を中心に考える人間栄養学へと変化してきました。そして今、子どもの発達について栄養を中心に据えながらも全体的に考えていく発達栄養学へと進展してきました。
すべての子どもたちを対象とするものの、中でも栄養摂取に困難さを抱える発達障害児への対応については重点的に探求しています。発達障害がある子どもは、極端な偏食による栄養不足が成長に影響を与え、それがさらに発達障害の困難さを増強させるという悪循環を起こしている実態があります。
発達栄養学を学ぶ、それぞれの方が経験や知識を活かして、子どもたちの未来のために取り組めるように、各方面に及ぶ内容を含めた講習体制を構築しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕